こころを包むラッピング

ラッピングは時代によってどんどん変化しています。
もともと日本は包む文化が盛んで、金品を和紙で包む「折形」は礼儀作法のひとつとして公家の中で継承されてきました。
やがて「折形」は武家の教養のひとつになり、江戸時代には庶民にも広がりました。
「折形」の基本として白い和紙が使われるのは汚れのなさや清い気持ちの表れとされており、「包む」行為はおもてなしや礼儀、愛情や感謝の心を伝える手段として古くから日本で親しまれてきました。
たしかに凝ったラッピングがされたお品物を贈られると、もうひとつプレゼントをもらったような嬉しい気持ちになりますよね。
ただ、時代とともに、日本の包む文化もどんどんシンプルになってきています。
過剰な包装は徐々に減り、随分前から紙の手提げ袋やレジ袋をもらわない人が増えました。
新型コロナウィルスの拡大によってエコバッグを持つのが当たり前になり、風呂敷や手ぬぐいはゴミを出さないエコなラッピングツールとして見直され始めています。
ラッピング自体も変化し、今は包装紙で丁寧に包むより、袋に入れてシールやテープで留めるだけの簡易な包装が主流になりつつあります。
リボンやチャームも金属やプラスチックがついたものを使わず、そのまま可燃ゴミで捨てられる麻紐や紙テープを使ったナチュラルな物を選ぶ人も増えています。
かつてないほど衛生意識が高まる今、長く手をかける凝った包装より、ポンと入れて封をするだけのラッピングはたしかに時代に合っている、そう思う反面、ひとつの芸術ともいえる「包む」技術を未来に残していきたいという思いがあります。
かつて伊勢貞丈が「貞丈雑記」に「心を尽くして取り調えるを、馳走とも奔走ともいう。馳、奔、走 三字とも走ると読むなり」と書いています。
見えないところに時間をかけ、十分に相手のために尽くすことを意味しています。
その精神にこそ日本人としての美学が宿っているのではないでしょうか。
日本に旅行に来られた海外の方はラッピングの見た目の美しさから包装された商品を購入して持ち帰ることが多いそうです。
包装は、大切な人に贈るお品物を大切に守ること。
見た目から始まり、形のない気持ちによる行動は、目立たないようで一生の思い出になる。
見た目より、言葉で表せない心を包む。
この日本独自の「包む文化」を私たちは忘れないようにしたいものです。
つつみ屋工房では、お客様の大切なお品物を心を込めてお包みをさせていただきます。
大切な人への贈り物をお考えの方はぜひつつみ屋工房にお越しくださいませ。
皆様方のお越しをスタッフ一同心よりお待ち申し上げます。
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つつみ屋工房は、2025年2月25日(火)は休業とさせていただきます。
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